結・えんとこ

2004年5月1日付で「えんとこ」に事業者認定(基準該当団体)が下り、 6月1日事業所を立ち上げることになりました。 今の社会の仕組みを踏まえながら、他方でこれまでの 「えんとこ」ならではの持ち味をいかし、将来に向かっての“夢”を、かなえてゆこう!

宣言文

事業所立ち上げに至った経緯

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脳性マヒによる障害者・遠藤滋は、1977年当時から筆記や食事等を介助者に頼るようになっていました。このころ、本人は実家から都立光明養護学校に出勤。その後、結婚のため新居を構え、やがて子供が生まれ、子育てに追われるようになったのです。

その間、職場での過度な緊張や無理な動作の積み重ねにより、頸椎の変形からくる神経障害がいっそう進行することになり、次第に全面的な生活介助を必要とするようになりました。しかし、介助者は常に不足し、大学や駅頭等でチラシを配るなどして自分の周りに介助者のネットワークを形成してゆきます。

これが「遠藤滋&介助者グループ」の始まりです。当初はまったく個人的な必要からつくっていった“介助”を介した人間関係は、これがひとつのグループとして地域でのイベントに参加したり、独自の催しを企画したりする中で、次第にそれを超えた性格を持つようになりました。

やがて遠藤宅、及びこの介助者グループは、そのコミュニケーションのための通信の名前をとって「えんとこ」という通称で呼ばれるようになり、とくに1999年、映画『えんとこ』(監督・伊勢真一)が話題になることにより、その特色ある性格が世間に知られるところとなるに至りました。

ところが、本人の障害はこの後急速に悪化の一途をたどります。これに追い打ちをかけたのが2003年4月より障害者の介護に市場原理を導入した「支援費制度」への必死の対応でした。そしてこれが、決定的な一撃となってしまったのです。身体の状態が悪くなればなるほど、その介助は微妙で難しいものになってゆきます。そのため、「えんとこ」の維持はいま、極めて困難な状況にあります。「支援費制度」が導入されてしまった現在、だからといってこの灯を消してしまっていいのでしょうか!!

1985年、本人は白砂巌氏と『だから人間なんだ』を編集し、これを出版。このことをきっかけに、障害のあるなしにかかわらず“自らのありのままのいのちをいかして生きる”ことが最も自然な生き方だと気づくことになりました。以来、本人は介助を受けることをひとつの具体的な契機としていかし、そうした事実を伝えたいと願ってきました。

「えんとこ」の特色ある性格は、多分に本人のこの強い願いによって形づくられたともいえるでしょう。“いのちをいかし、いかしあう”ことを感覚として共有すること…。このことが、今だからこそ求められているのではないでしょうか。

しかしながら、これは単なる個人的な関係を深めるだけでは全うできないことを、わたしたちは知っています。ぜひとも“たがいの固有のいのちをいかし、いかしあえる拠点”としての、社会的な性格を持った共生住宅、「ケア生活館」の建設を自分たちの力で実現させたい。こうした生活拠点を持ってこそ、わたしたちは初めて自らの意志でそれを確かなものにし、さらにそれをネットワークとして広げてゆくこともできるでしょう。

たしかに、それは容易なことではないかも知れませんが、一定の数のひとたちが心を合わせ、本気になってこれに取り組みさえすれば、決して不可能なこととはいえません。それこそが既存の社会や政治のあり方からの、わたしたちひとりひとりの全面的な自立といえます。時の政治によって生活が振り回されることも、そこではありえないのです。

いまの政治家や官僚たちに、この先いったい何が期待できるといえるでしょうか?

これらのこともふまえて、わたしたちは「えんとこを支える会」の活動として以下のようなことに積極的に取り組むことにしました。いわゆる「えんとこ」らしさをいかし、それを維持・発展させるために…。みなさま方の参加と、ご支援、ご協力を呼びかけます。楽しい、実りとやりがいのある活動にしてゆきましょう。

① 人材育成・・・基準該当団体『結・えんとこ』の成員どうしの自己研修、および相互研修として行う。したがってこれは必ずしも社会福祉に係わる技術の養成のみにとどまるものではない。介助という行為を通して直接ひとのいのちに触れ、自らのいのちを見つめ直すこと。そして“いのちをいかし、いかしあう”係わりを具体的に模索できるひとを育てることである。それは単にこの事業団体を立ち上げることだけでは実現に限界があることかも知れない。だが、初めからそのことを知った上であえて厳しい状況の中で自分のいのちを教材としていかそうという本人の心意気としたたかないたずら心には、受けて立っていいものがあるのではないか。これをひとつの飛躍への契機としたいと思う。

② 社会啓発・・・各種のイベントを企画する事を通して、人々の心のバリアフリー化を推し進める。具体的には、例えば映画『えんとこ』の上映、関係書籍の販売、リサイクル製品のフリーマーケット、独自の共生住宅の建設を目的とした“いえ”と“まち”の調査、自然栽培による甘夏やアシタバなどを使った製品開発・販売等々である。「えんとこ」ならではの持ち味を生かして、まずはひととひととの活発な交流を創造する。地域のみならず、他団体のイベントに参加するのもいい。“いのちをいかし、いかしあう”ことの楽しさ、すばらしさを伝えること。それは、必ずしも直接介助に係わることだけによって可能なわけではないからである。講演会や討論会等を企画することも考えられるが、それはなにかと組み合わせることにして、可能な限り具体的な動きを伴ったものにしたいと思う。

③ ネットワークづくり・・・これらのことを可能にするためには、本人もその発起人に名を連ねている「ケア生活くらぶ」との連携は不可欠である。その他生活の上で創造的な活動をしている家族・個人やグループとは、積極的にコンタクトをとってみる必要がある。もちろん、地域の学校や保育施設(幼稚園や保育園、それに学童保育)、それに羽根木公園のプレイパークを拠点とした自主保育グループも見過ごすことはできない。地域を越えての結びつきも、これを排除しない。しかし、なによりも必要なのはかつて(1980年頃)本人が世田谷で起こした、介助の公的な保障を求める運動から発展した諸団体である。これらは現在、「介助の公的保障を求める世田谷連絡会(介助連)」として、他の団体をも加えて連合組織を組んでいるが、ここから漏れている魅力的な個人もいる。これらとの連携は、時代の生き証人からの生情報を受け取ることができるので、その意味でも有効である。これからも広い、多角的なネットワークを持ってゆきたい。(2004.6.1)

結・えんとこ への2件のフィードバック

  1. 飯沢佑介 のコメント:

    ホームページを拝見して、お問い合わせをさせていただきます。私、創価大学3年の飯沢佑介と申します。「弱さの思想」という本のなかでえんとこさんの存在を知り、インターネットで調べさせてもらったところ、映画えんとこの存在を知りました。動画サイトにあった予告編を見て是非本編も見てみたいと思ったのですが、こちらは映像ソフトの販売などはされていらっしゃるのでしょうか?もしされているようでしたら、購入を希望したいです。よろしくお願いします。

    • 遠藤滋 のコメント:

      お問い合わせありがとうございます。
      えんとこでヘルパーをしている谷口というものです。
      遠藤さんに代わって返信させてもらいます。
      映画を制作している「いせフィルム」からの通信販売が可能です。
      いせフィルムHP
      https://www.isefilm.com/
      また、東京であれば伊勢監督の最新作「やさしくなあに」に合わせた特別上映もありますので詳しくはホームページをご覧下さい。

      よろしくお願い致します。

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