わが内なる違和感  〜あけび掲載 (令和元年六月号)


わが内に違和感あるを「障害」に帰すれどなをも得心し得ず
いつの日か覚えし違和感人々の絶えず世間を気にして生くる
アメリカに生まれし母の影響か個人主義をし身につけたるや
母方は曾祖父よりしアメリカの開拓移民にありて漂ふ
若きよりビルマにありて戦後にも東京支店を任されし父
ビルマより時に我が家に客のあり英語ビルマ語日本語の飛ぶ
家(や)の内にビルマの子弟の出入りする日常の中われ育ちきぬ
全くの駿河言葉を話す祖母時折「アエン(IRON)」「ワダグラス(WATERCRESS)」など言ふ
周囲(まはり)には風変はりなる家ならむ外(と)にはわが母寡黙にあれど
母方の叔父よりレコード送りきぬチャーチル等の演説なりき
飢ゑて泣く乳飲み兒我に米国ゆ苦学の叔父はミルク送り来
都市化して最早地縁も消えたるになぞ他人(ひと)の目をかくも気にせる