秋雨の晴れし日  〜あけび掲載 (平成三十年十二月号)


秋雨の晴れし一日昔日に住みし辺りを探索に行く
新宿と池袋との雑踏を分けつつ来る南町交差点
駅員に頼めるばかりに電車をば二本見送りやっと乗りたり
信号に近き八百屋の手前なる路地を入ればそここそ住処
大学の四年になりし時なれど進路の闇に迷ふその頃
反戦や自主講座など論ずれどわが障害のこと置き去りにせし
「青い芝の会」の事務局尋ねつつ町工場にも勤め始めし
かへり際山手通りへ下る坂月と火星の正面に出づ