今年も岩地の浜にて  〜あけび掲載 (平成三十年十一月号)


逢ひたきをまた逢ふを得し入り江越し赤肌見せてそそりたつ崖
汝(な)がなくばこの江なからむここに来て海につかるも汝のお陰なり
汝(なれ)はそも我覚ゆるや向かひなる浜の渚(みぎは)に来り遊ぶを
あの先は白く波立ち海中へ落ちて深さは二千数百メートル
数条の縦の岩肌心なし尾根の緑に覆はれ来しや
縁ありてこの山中に山林を有つことなくば汝(なれ)と逢はざり
あの尾根ゆ湾をへだててわが故郷三保の松原見分けざらむや
幼きに三保の浜より島のごと伊豆の山々見えしことあり