冬場の外出  〜あけび掲載 (平成三十年八月号)


この冬は寒くしあればなかなかに外に出るも億劫なりき
プールには行けざりしかど折角の介助体制いかに活かさむ
着替へなど諸々のこと思ふほど気の重くなり心決まらず
介助者に引かるるごとくに地下鉄を使ひて来たるスカイツリーよ
駅よりしそのまま入りてエレベータ降るれば地上三百五十メーター
宝石箱毀ちたるごときらめきぬ視野の限りに広ぐる夜景
地平線近きは不思議にせり上がり我すり鉢の真中にゐるや
心地よき電車の揺れに帰り来ば外は凍てつき雪も残れり