友逝けり  〜あけび掲載 (平成二十六年九月号)


またひとり共に時代を拓きこしかけがへのなき友を送れり
葬儀にて出会ひし頃の思ひ出を弔辞に代へて語りたりけり
たまさかに同人誌にてきみの詩を見しよりいたく捕へられたり
詩をひとつ書くを重ぬるそのたびに兆したりけむ「自立」への意志
自らの親の説得なしきりて自立の一歩きみ踏みだせり
野次怒号とびかふ中なる区交渉黙せるきみは存在感を持つ
「自宅での緩和ケア」を選びしはあまたの治療身に識るゆゑか
六日前気になり家に寄りしとき我と気づきて言葉交はせり