〜あけび掲載 (平成二十六年四月号)


しんしんと雪の降り積む音もなく雪の降り積むわが心にも
朝方に聞こえし車のチェーンさへ今は聞こえず雪は降り積む
ひとときは聞こえし向かひの中学校はしやぎたる声いまは聞こえず
窓の外の椋の枝にも少しずつ雪の積みゆきなをも降り積む
常伏せのこころとからだの痛みをばいや降り積もる雪よ清めよ
前日の雪溶け水分け都知事選車椅子(いす)を押されて投票にゆく
掻きたるも雪の残りてひと一人通れる径は水に浸れる
梅見むと丘に上ればおとついの雪の残りて車椅子(いす)行きなずむ