入院の病室にて

数日のうちに子孫を残さむと蝉は鳴くなり懸命に鳴く/朝まだき蝉の鳴き初む あまたなる蝉という蝉一斉に鳴く/病室の大きなる窓 時折に蝉の当れる かはいさうに/よく見ればガラスの窓のそこここに蝉の体液「ああ、残酷」