京都・山科を探りて二

川を渡り新幹線も横切りぬ見当はづし半周もせり/巨きなる団地の前を過ぎゆけば右に土塁の跡らしき見ゆ/近づきて土塁を見むと寄りみれば堀の跡さへ目前にあり/土塁跡は草木茂りて人の背の四倍余りもあるごとく見ゆ/道ひとつ隔てて寺めく土壁の角を曲りて狭き路地ゆく/ここぞその蓮如の墓と入りゆけど門あり内より閂をかく/一行に若き乙女のひとりありその細腕が閂を抜く/人の背に近き蓮如の土饅頭頭(かうべ)を垂れてひとまはりせり