河原に住む人々

いつの間にかく増えたるや多摩川に仮の宿りの一軒二軒/家族らは郷里にありや河原にて猫を友とし皆暮らしをり/リヤカーに缶をひと山集むともその日の糧になほ足らざりき/せつかくに得たる銭もて猫用の缶詰買ひてそを与ふとは/定職に就かむと行きし面接に住所の故かまた落さるる/いつぞやの風雨強き夜多摩川の河川敷より助けらるるあり/去りしひとの小屋片づけによこさるる人の吐きたる侮蔑の言葉/反り合はぬ隣人なれどそに代り義憤を猛然ぶつけたりしも