暗渠を辿りて

農民の飲み水なりし北沢川今は汚水か緑道の下/支流なる暗渠を探り辿りゆく昔の記憶と地形を頼み/小径をば暗く塞ぎて繁りたる欅は伐られ株なほ残る/巨き株今も残れり狭き道の舗装の真中暗渠のほとり/萌え出よいざ萌え出よいのちの木舗石を破り天を突くまで/溝川(どぶがわ)に蓋せる上(へ)なる緑道に「せせらぎを」とふ愚かしさかな/川ありと知らねばわれらが排水もいづこに行くや知るべくもなし/もとありし川を忘れて造る街なにやある時さぞ脆からむ