夜顔に寄す  〜あけび掲載 (平成十八年十一月号)

ほの白く夜顔(よるがほ)咲けり台風の去りてさやけき月の窓辺に/朝顔と思ふに蕾は昼を過ぎ膨らみ初めてほどけゆきたり/夏の日にハート形なる葉をみれば葉脈透けて水の行き交ふ/蕾なる萼より緑の首伸びてねぢれ解きつつ花ひらきゆく/純白のフレアスカート思はせて夜顔(よるがほ)咲けり月出づるころ/夜顔(よるがほ)は大輪なるにその白き花弁の薄きゆゑかはかなき/夜顔(よるがほ)は淋しからずや夜の闇に人知れずしてほの白く咲く/夜型のわれの性癖察してや今年は夜顔(よるがほ)送りくれしか