初夏より梅雨へ −わが窓より  〜あけび掲載 (平成十八年十月号)

ふと見れば繁れるほどに深まりし緑輝く街の風景/若き芽も見る間に繁る葉となりて中学生らもはや衣替へ/急速に緑増したる木々の下道行く人の足取り軽し/のびやかに裸の脚をはこびつつ女子(をみなご)行けり緑陰深し/梅雨入りと思へば終日降らずして雲たれこめぬ降出しはいつ/深くる夜の半ばに雨の降りはじめこの地もつひに梅雨に入るらし/降る雨に光る路面は木(こ)の影の暗く落ちゐて傘の花行く/手を借るも側臥となれるその時し椋に蝶あり空に向け発つ