危ふき道  〜あけび掲載 (平成十七年十月号)

ただにさへ絆少なき老いの身に都会の闇はさぞ深からむ/ひとをしも物と扱ふ悪法に孤独死をせる老いの身あまた/老いの身はひとごとならず障害の身にも迫れる悪法の闇/生計(たつき)にも事を欠きたる者にさへなべて一割自己負担とは/手術待つベッドの上に聞こえこし茶番の末の悪法通過/競争に負くる恐怖をあふりつつ景気浮揚を計らむとす/疎開せる麻痺の児らにと教師らに密かに毒を持たせたるとぞ/戦争を過去と思はじいままさに危ふき道を歩みはぢむる