フルトヴェングラー讃(2)  〜あけび掲載 (平成十七年四月号)

音盤にわが心処(こころと)を捉へたる汝(なれ)逝きてはや五十年経(ヘ)つ/戦犯の嫌疑かかりて不遇なるひとときありし汝(なれ)をし想ふ/嫌疑晴れ音楽祭にて指揮したる「第九」の演奏いまにのこれり/思はずも速さ増したる演奏の鳴りそこねたる最後の一音/ベートーヴェンその鬼気迫る演奏の思ひのほかの優しき響き/汝(なれ)によるシューマンの調べおのづから湧き出づるがごと響き初めたり/映像にひとつ残れる「ドン・ジョヴァンニ」汝(な)が音楽観を伝へてやまず/さりげなく序曲を振れる汝(な)が姿この三月(みつき)後にみまかりしとは