ボイタ法を受けて

幼きに効果ありとふボイタ法五十路のわれにいかに働く/呼吸とはかかるものかと驚きぬ胸をひろげてそを味はへり/胸張ればおのづと首の伸びきたりす直ぐになりそむ左傾したるも/息深くなれば余裕のうまれしやむ噎せ返ること少なくなりぬ/幾重にも閉ざされし箱その中に痰のからみしわれ臥しをりぬ


暁に痰のつまるを知りをればぬるにも怖れわれ抑へえず/わが為に日帰りにこし君なるをごくさりげなく「見舞ひに」といふ/かつてわれ母子入園の覚えありヤンママの背に母を重ぬる/幼な児はただ泣き叫ぶばかりなり母らは求むわが一言を/麻痺の児を突然持ちし母らなり揺るるこころはひとごとならず