烏のカウワ  〜あけび掲載 (平成十六年四月号)

窓の外(と)の電線にとまりし烏一羽カウワカウワとしきりに鳴けり/消防署のテラスにとまり喉鳴らす烏の仕草げにもをかしき/鳴きて後お辞儀せるごと喉鳴らすちさき振動うがひにも似て/あまりにも特異なこゑの烏ゆゑ親しみを込めカウワと名付く/そのこゑの際立てるゆゑ笑ひつつ顔を見合はせ「またヤツが来た」/鳴き交す烏に混じりカウワとふ声聞きをれば心和みぬ/三四日カウワの声を聞かざれば何やありしと気にかかりたり/ねぐらへと急ぐ烏の群れに混じりカウワとふこゑ確かに聞こゆ