春への歩み

歯医者へと通ふ道にて丘辺より甘き梅が香漂ひきたる/賑はへる梅祭りのべは幼きにわれら遊びし笹やぶなりき/入りつ日に影となりてぞ咲く梅のあまき香りに寒さ忘れぬ/白加賀や紅千鳥など咲きゐたりその夜あやにく雪の降れるを/向かひなる中学校の正門に咲く木蓮の白さ清しも


寒風に激しく揺るる雪柳そのしなやかさ息づく舗道/週ごとに通ふプールの丸窓に見ゆる桜木紅み増しゆく/こころなし紅み増したる桜枝の芽の膨らみのさやになりゆく/紅らめる桜の芽吹きその幹のかほど黒きを改めて識る