恋歌  〜あけび掲載 (平成十六年三月号)

いくばくの命や知らずされどわれ恋する心溢れて止まず/硬ばりて萎え極まりしわが身ゆゑ溢るる念(おも)ひあへて伝えむ/若ききみ悩ますことに躊躇ありされどわが心隠す術なし/かなはぬと思へどともに生きること強く願はむ恋するがゆゑ/成らぬとも愛し愛さるその一瞬(とき)をせめてわが身に許したまへよ/薄衣(うすぎぬ)のきみわが夢に現はれぬ両手を取りてそが胸に充(あ)つ/抱(いだ)き合へば背筋にそひて掌(たなごころ)下穿きに入りそを取り去りぬ/夢醒めてきみが肌(はだ)への温もりをしばしの間掌(て)にぞ残しぬ