音楽家　武満徹に寄せて

東洋の遠き果てなる島国に新しき音花開きたり/作曲をひとりのみにて身につけし武満の曲独創に満つ/虚空より迫り来れる音ひとつ張りつめし世界これにてぞ成る/硬質の音の糸にて紡ぎ出すそのいろどりにわれ驚けり


綾なせる厳しき響き意外にも胸に迫りてこみあぐるあり/和楽器の響きをいかし書ける曲その緊迫感のここに極まる/家持の｢いささ群竹吹く風の音｣のかそけさ弱音に聴く/鎮魂の弦楽曲を処女作にすぐれし曲をかれは残せり/笙の音を受けてひろがる管弦の美しき響きに涙こらへぬ


谷川との間に成れる音楽詩ドビュッシーの海を遠く越えゆく/ジャポニズムの洗礼受けしドビュッシーを彷彿せるは偶然なるや