烏のカウワ

窓の外の電線にとまりし烏一羽カウワカウワとしきりに鳴けり/消防署のテラスにとまり喉鳴らす烏の仕草げにぞをかしき/鳴きて後首下に伸ばし鳴らす音ちひさき振動うがひにも似て/あまりにも特異なこゑの烏ゆゑ親しみを込めカウワと名付く/そのこゑの特異さゆゑに笑ひつつ顔見合はせて「またヤツが来た」


鳴き交す烏に混じりカウワとふ声聞きをれば心和みぬ/三四日カウワの声を聞かざれば何やありしと気にかかりたり/鳴く前にアとふひとこゑ加わりて烏のカウワただ者ならじ/ア、カウワカウワカウワと繰り返しカタカタ音成す一羽の烏/三つほどはなれし駅のホームにてカウワの声を聴きしときみ言ふ


ねぐらへと急ぐ烏の群れに混じりカウワのこゑも確かに聞こゆ