暁(あかつき) 『伊勢物語』に想をかりて


薄衣(うすぎぬ)のきみわが夢に現はれぬ両手を取りてそが胸に充(あ)つ/何故かわれきみを抱(いだ)きて立ちてをりその手に触るる背筋の曲線/抱(いだ)き合へば背筋にそひて掌(たなごころ)下穿きに入りそを取り去りぬ/夢醒めてきみが肌(はだへ)の温もりをしばしの間(あひだ)掌(て)にぞ残しぬ